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ミステリーバーグ


ある福祉施設にまつわる怖い噂

第三話
真夜中の電話
語り手 30代男性

 僕は大型の福祉施設で働いています。そういった福祉施設には宿直が付き物です。基本的に夜は入居者が寝ているので、業務自体はさほど大変ではありませんが、夜中に一人で宿直室にいる時の孤独感はなんとも言えません。これは、そんな宿直中に何人もの先輩が体験した話です。

 一人で宿直室にいると、真夜中だというのに電話が掛かってくるのだそうです。緊急事態かと思って電話に出ると、何故か妙な機械音のような音が聞こえるのですって。多分FAXを送ろうとして、間違えて電話番号をダイアルしてしまったのだろうと考え、受話器を戻して履歴を見ます。するとその番号は、かつて同じ敷地内にかつて建物の番号だったそうです。

 既に取り壊されている建物の番号から電話が掛かってくるなんてことは通常ありえないので、ナンバーディスプレイの誤作動か何かだと、同僚は言っています。でも他に電話の不具合は起きていないし、この電話を受けた先輩は一人だけではないのです。僕はね、今も宿直の度に、この電話が掛かってこないか、今も待ち続けているのですよ。掛かってきたらどうするかって。もちろん録音しますよ。機械音だって言うけれど、スロー再生したり、逆再生したりすると、何らかの隠されたメッセージが現れるかも知れないじゃないですか。そう考えると、なんだかワクワクしませんか。


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