Watchburg Music
Cover Photo

知ったかぶりのクラシック


幻想的な旋律に魅了されること間違い無し

クラーク
Morpheus(眠りの神)

暖かな午後の日差しに夢うつつ、幻想的な旋律に魅了されること間違い無しなのが、クラークの《Morpheus(眠りの神)》。

レベッカ・クラーク(1886-1979)はイギリスの作曲家で、ヴィオラの名手でもありました。
そのため彼女はヴィオラを含む室内楽曲を手掛ける事が多かったようです。
しかしながら20世紀初頭は女流作曲家の芸術性はあまり評価されず、そのため近年まで大作曲家の一人というようには見られていなかったようです。
また若かりし頃には男性名義で作曲コンクールに応募していたという逸話もあります。

この《Morpheus(眠りの神)》はヴィオラとピアノのために書かれた二重奏の作品です。
ヴィオラとはヴァイオリンとは基本的に同じ構造の楽器ですが、ヴァイオリンよりサイズが少し大きく、より低い音が出るように設計されています。
ヴァイオリンの音色のような鋭さはありませんが、人の声に近い音域を持つために優しい音色であると言われています。

ピアノはハープを模したような伴奏のパターンを刻み、また旋律にはモダンジャズやブルースを連想させる音形が現れます。
この時代を先取りしたかのような現代的な響きは、女性ならではの豊かな感受性に依るものではないでしょうか。
Morpheus(和名モルペウス)とはギリシャ神話に出てくる夢を形作る神のことで、まさにこの曲の幻想的な雰囲気にピッタリのタイトルですね。

 

それではお聴き下さい。
クラーク《Morpheus(眠りの神)》


記事一覧へ戻る