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知ったかぶりのクラシック


内在する力強さと悲壮感

ヒンデミット
トランペットとピアノのためのソナタ

クラシック界最強の男、パウル・ヒンデミットの放つドイツ時代の傑作!
内在する力強さと悲壮感は1940年代のドイツの行く末を暗示しているのだろうか!?

この《トランペットとピアノのためのソナタ》は20世紀を代表するドイツ人作曲家、パウル・ヒンデミット (1895-1963)によって1939年に作曲されました。
ヒンデミットのヴィオラの腕前は当時世界でもトップクラスであり、またヴァイオリンやピアノをはじめ、その他全てのオーケストラ楽器を弾きこなしたと言われています。
そのため沢山の種類の楽器のために独奏曲を書きました。

彼はユダヤ人ではなかったのにも関わらずナチスの芸術統制に反発し、アメリカに渡って名門イェール大学で教鞭を取るようになります。
信頼すべき筋からの情報によると、彼は学生から非常に恐れられていて、気に入らない曲を生徒が提出したら楽譜を破き、気に入らない演奏を聴いたら「この豚やろう」と呟いていたそうです。

前衛音楽に懐疑的であったヒンデミットは古典主義者に分類される事も多く、彼の音楽スタイルは現代的な音楽語法を取り入れながらも、バロックや古典時代の音楽形式を踏襲しています。
また明るくも暗くもならないような旋律を作り出す、和声や音程の跳躍が特徴的でもあります。

この《トランペットとピアノのためのソナタ》は彼の数ある『◯◯のためのソナタ』の中でも特に有名で、多くのトランペット奏者に親しまれており、またヒンデミットらしさに溢れる作風となっています。

 

第一楽章
パワフルで豪快、これぞヒンデミットといった音形と和声が堪能出来ます。

第二楽章
短いですが行進曲を思わせるような躍動感溢れる楽章です。

第三楽章
重々しく暗い葬送曲です。
最後はバッハの賛美歌「すべての人は死ななければならない」からの引用で締めくくられます。

 

それではお聴き下さい。
ヒンデミット《トランペットとピアノのためのソナタ》より第一楽章

リンク先の動画では、なんとWynton Marsalisが吹いております。


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