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知ったかぶりのクラシック


印象主義界の異端児

ルーセル
交響曲第三番

フランスに生まれたドイツロマン主義の継承者。
古典を重んじる作風とド派手なオーケストレーション持ち味の印象主義界の異端児!

アルベール・ルーセル(1869-1937)は印象主義が栄華を極める、19世紀末から20世紀初頭に活躍したフランスの作曲家です。
元々はフランス海軍に所属しており、25歳で本格的に音楽の訓練を受け始めた遅咲きの作曲家です。
1898年からはパリのスコラ・カントラムに進学し、実に1907年までヴァンサン・ダンディらに師事しました。

このスコラ・カントラムの有名な卒業生には前述のエリック・サティもいます。
ちなみにサティが入学したのは38歳の時と、こちらも晩学でした。

ルーセルはドビュッシー、ラヴェルらによって全盛期を迎えたフランス印象派時代の作曲家にも関わらず、古典主義的な作風で知られています。
印象派からの影響も多く見受けられますが、フランス的な華やかさや優雅さよりも重厚なオーケストレーションや躍動感溢れるリズムが際立つ作品を多く残しました。
また調性感がはっきりしている旋律を好み、黎明期のジャズにも強い関心があったとされています。

この《交響曲第三番》は1930年のボストン交響楽団創立50周年のため、作曲依頼を受けて作られた委嘱作品で、ルーセル作品の中でも傑作として名高い曲です。
僕も一度ボストン交響楽団による《交響曲第三番》を聴きに行ったことがあるのですが、あまりの素晴らしさに、第一楽章が終わった瞬間に観客から大きな歓声と拍手が起きました。
(最後の楽章が終わってから拍手をするのが昨今のクラシック・コンサートの慣例となっています)

第一楽章 Allegro vivo
いきなりクライマックスかと思うような緊張感から曲が始まります。
終わり方も衝撃的で、つい拍手をしてしまったボストン市民の気持ちが良く分かります。

第二楽章 Adagio
オーボエとフルートによる緩やかな旋律から始まりますが、次第に緊張感を増していきます。

第三楽章 Vivace
ユーモラス且つ優雅な楽章で、ジャズからの影響が見受けられます。

第四楽章 Allegro con spirito
軽快なリズムと重厚なオーケストレーションが特徴的です。ダブルアクションハープとヴァイオリンソロの使い方にフランスらしさが感じられます。

それでは聴いて下さい。
アルベール・ルーセル《交響曲第三番》より第一楽章 Allegro vivo


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