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アメリカ音楽留学入門講座


アメリカの大学で音楽を学ぶには大きく分けて3パターン

第一回
アメリカで音楽を学べる大学の種類

筆者はアメリカの音大と音楽専攻で大学院を卒業しています。
その前は日本の普通の大学の理工学部に所属していました。

文系では大学3年で就職活動を始める学生が多いですが、理系となると7〜8割は大学院進学希望で、筆者の周囲でも多くの学生が大学の研究室へ訪問に行くようになりました。
高校時代から海外での音楽活動に興味のあった筆者は就活も研究室訪問もせず、20代からの音楽留学を始めました。

 

さて、日本では大学で音楽を勉強するには『音楽大学』意外にほとんど選択肢はないと思います。
(他にも教育学部の音楽科とかもありますが…)
しかしアメリカの大学で音楽を学ぶには大きく分けて3パターンあります。
それは…

1.音楽大学で学ぶ
2.総合大学に付属の音楽学校で学ぶ
3.総合大学の音楽学部で学ぶ

の3パターンです。

まず1の『音楽大学』の場合ですが、これは日本の音大で学ぶということとそんなに大差が無いものと思われます。
(筆者は日本の音大に行った事がないので、あくまで個人的な見解です)
音楽を中心に組まれたカリキュラムに則った4年間のプログラムが主です。
入学に関しても英語や論文作成の能力より『音楽の実力』そのものが大きなファクターを占めるようです。
また日本と大きく違うのは、ジャズ科、音楽エンジニアリング科、コンピュータミュージック科や映画音楽科といった、演奏中心の日本の音楽大学では馴染みのない学科も多数あります。
とは言うものの、アメリカにおいても演奏科が音楽大学の中心ではあります。
有名音楽大学には『ジュリアード音楽院』『ニューイングランド音楽院』『クリーブランド音楽院』等が含まれます。

次に2の『総合大学に付属の音楽学校で学ぶ』に関してです。
アメリカの多くの総合大学には独立した音楽学校が設置されています。
カリキュラム自体は音楽大学のものとあまり大差は無い場合が多いですが、母体となる総合大学で音楽以外の授業を受けられたり、音楽以外に副先攻が可能だったりといったメリットが考えられます。
総合大学の付属なので、入試には音楽の実力以外に、英語や論文作成、数的処理の能力等が求められることが多く、音楽能力だけで試験をパスする事は難しいケースが多いです。
有名な付属の学校には『ロチェスター大学付属イーストマン音楽院』『イェール大学付属イェール音楽学校』『マイアミ大学付属フロスト音楽学校』等があります。

最後に3の『総合大学の音楽学部で学ぶ』パターンです。
独立した音楽学校が無い場合でも、ある程度の規模の総合大学であるなら、ほとんどの場合『音楽学部』が存在します。
(イェールのように音楽学校と音楽学部がある場合も)
ただし総合大学の音楽学部では演奏先攻の学生が占める割合は音大よりも少なく、作曲や音楽学(音楽の理論や歴史を勉強します)先攻が中心となっています。
総合大学の音楽学部に進学するには他の学部の生徒と同様に英語、論文、数学といった試験を受けなくてはならないケースがほとんどです。
このように入試においても、入学後も学術的な能力が非常に重視される傾向にあります。
付属の音楽学校が無く、規模の大きい総合大学であれば、ほとんどの場合は音楽学部が存在します。

また『総合大学に付属の音楽学校』『総合大学の音楽学部』の大学院に進学する場合、多くはGREと呼ばれるセンター試験のようなテストを受ける必要があります。
この試験は英語と数学、それから論文セクションに分かれています。
GREは非常に難しいので、勉強嫌いの音楽家志望には大きな悩みのタネとなってしまうのです。

 

どの場合においても日本人に取ってネックとなるのは常に英語と学費です。
誰しもある程度英語を理解してから大学で学びたいと思うだろうし、奨学金制度を活用せざるを得ない程アメリカの大学の学費は高いです。
そして、そもそも奨学金制度をきちんと活用するにはそれなりの英語力が必要です。

アメリカで音楽を学びたいけど英語も不安だし、お金もあまりない。
けれども音楽には自信がある、もしくは音楽留学にどうしても挑戦したい、という人は多いと思います。

多少遠回りになるかもしれませんが、音楽留学をする前にワンクッション置くという手もあります。
それについてはまた、次回お話させて頂くことにします。


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