A: 私も複数のウェブサイトや資料を確認したところ、和音の各音の音名については、コードの元となるスケールの何番目の音であるかをそのまま第◯音とする呼び方と、コードトーンを下から数えて、第◯音とする方法が二通りあるようです。
本書では後者の呼び方を採用しているので、本書での「第◯音」というのは「コード構成音を下から数えて◯番目の音」という意味になります。例えばCトライアドの場合「Gは五度であるコード構成音の第三音」といった使い方をしており、ルートからの音程を表す際には、◯度というように度数を用いています。
コードの第◯音と、ルートからの音程◯度が異なるので、少し分かりづらい表現であるかと思いますが、本書でコードの元となるスケールの何番目の音であるかをそのまま第◯音と呼ばない理由は幾つか理由があります。
例えばCdim7コードを考えてみますと、下から四番目の音はA=Bbbですが、これはコードの第六音になるのか、第七音になるのか、決めかねる所です。しかしコードトーンを下から数える方法では、第四音と疑問の余地なく呼ぶことが出来ます。
また本書の後半以降に出てくるのですが、スケールの第◯音とルートからの度数が一致しないスケールを元にしたコード、例えばC7(b9,#9)といったコードが存在します。C7(b9,#9)に含まれるコードトーンのEは、ルートであるCから三度の音程にありますが、元となるスケールを考えると、スケールの第四音がEとなります。この場合コードトーンのEは第三音と呼ぶべきか、第四音と呼ぶべきか、決められません。ただ、コードトーンを下から数えるのであれば、これは第二音にあたります。
以上のように少し複雑な理論が入ってくると、コードの元となるスケールの何番目の音であるかをそのまま第◯音とする呼び方では、対応できなくなるということもあり、本書ではコードトーンを下から数えて、第◯音としています。
『コード理論大全』試し読み |