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【コード理論大全】質問コーナー


ドミナントコードのテンションって何でもアリ?

第四回
テンションの法則.d

Q: 102ページにテンションの法則d.が出てきますが、ドミナントコードにオルタードテンションを自由に加えられるのであったら、他のテンションの法則a.〜c.なんて全く無視できてしまいますよね?それなのに113ページなど、他のページではドミナントコードのテンションの付け方に対して、テンションの法則a.〜c.を引き合いに出して説明しています。これって、おかしくないですか?



文章が分かりづらい表現となってしまった点、大変申し訳ありません。 ご質問については以下のように回答させて頂きます。

まずドミナントファンクションを持つコードの場合でも、テンションの法則abcが無視されるわけではありません。 テンションの法則abcを満たす上で、条件を緩和する法則dが加えられているのです。 サッカーのルールで例えると、「a. 手を使ってはいけない」「b. ボールがコート外に出たらセットプレー」 「c. 相手競技者に対するタックルは反則」といったルールがありますが、そのルールがある中で、 「d. ゴールキーパーはペナルティエリア内であれば手を使って良い」という、 特別な場合には「a. 手を使ってはいけない」条件を一部緩和するルールが加えられていますが、 依然としてb.やc.のルールは保たれたままです。

テンションの法則も同様で、テンションの法則abcが守られた上で、法則dが加えられているのです。 法則dは法則aとbの条件を緩和するものですが、aとbを無視できるものではありません。 ドミナントコードの場合も法則aとbは守られています。 CマイナーキーのV7であるG7を例に考えてみてください。 法則aを無視すると、テンション13であるEが使えることになります。 更に法則bを無視するとドミナントコード上でテンション11のCが使用可能となり、調性が崩れてしまいます。 G7のテンションとしてEもCも使えないのはテンションの法則a.b.が守られているためです。 また明確に旋律的短音階が用いられていると判断できる場合にはメロディにAが使用されます。 メロディも和声を作る一つの大きな要因ですので、法則c.が適用され、テンションb9とテンション#9に制限が生じるというわけです。 この部分については、P102-103に詳しく説明されているので、参考にしてください。

恐らく法則d.に含まれる『自由に』という部分が入っているため、混乱を招く文章となってしまったかと思います。 文章が分かりづらい表現となってしまった点、重ねてお詫びします。今後とも、誰にでも理解しやすい文章を目指していきますので、引き続き何卒よろしくお願い致します。

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