Watchburg Music
Cover Photo

【コード理論大全】質問コーナー


dim7コードの解説、どうして全てのパターンを記載しないの?

第十二回
分かりやすさと簡潔さを目指して

Q: P.223の図Ⅱ-2b、2c、2dとその前の説明について、「Cdim7と同じ構成音を持つ他のディミニッシュトセブンスコード」との記述より、P.211の図Ⅰ-1bより Cdim7と同一構成音となるのはD#dim7、F#dim7、Adim7だと思います。しかし図Ⅱ-2b、2c、2dを見るとAdim7がなく、図Ⅱ-2bと2cは表記が異なっていますが、同一ルートの重複です。なぜ全部のパターンを記載していないのですか?誤植ですか?



貴重なご意見、ありがとうございます。P223の図ですが、II-2bとII-2cについては、上行アプローチの#IIdimとアナライズしても、下行アプローチでの♭IIIdimとアナライズしても、テンションの法則に従えば結果として同じテンションが得られるということを理解して頂くために、エンハーモニックコードを用いています。

このページではAdim7の他、F#dim7とエンハーモニックなG♭dim7も省略されていますし、続くページでは#Idim7の転回系は殆どが省略されています。なるべく多くのパターンを書籍に入れたいとは思うのですが、項目に関わる全ての進行やキーなどの譜例を入れると膨大なページ数になってしまいます。ですので、理屈さえ分かって頂ければ読者の方自身で導けるパターンで、特に自明であると考えられるものは、本書において省略されている傾向にあります。

一方で今回のご質問とは逆に、「譜例が多すぎる」「解説が冗長すぎる」といった意見も読者の方から頂いております。P223のように譜例が並列されている部分や、ある程度の音楽経験者にとって自明である項目は削除して、もっと書籍自体をコンパクト化してほしいという意見も多くあります。筆者としても、分かりやすさと簡潔さを両立し、より多くの読者様が納得できるようにと心がけた次第ではありますが、至らぬ点がありましたこと、大変申し訳ございませんでした。

ただちにコード理論大全の改定や再編集を行うということはないと思いますが、こういったフォローアップ記事を充実させ、読者の方々にフィードバックしていくことにより、本書の価値を高めたいと思っておりますので、今後とも引き続きよろしくお願いします。

『コード理論大全』試し読み


※著者作品(CD・楽譜)のご注文はこちらからClockburg Recrods


記事一覧へ戻る