Watchburg Music
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ノミネート作品一覧


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記念すべき第一回ウォッチバーグ音楽大賞

ノミネート作品一覧
(動画・解説付き)




1. 愛が起きてる
- Sherbets
2. My Antidote
-Slash ft. Myles Kennedy and the Conspirators
3. 宇宙ドライバー
- 後藤輝基
4. The Endless Road Turns Dark
- The Skull
5. We can!!HUGっと!プリキュア
- 宮本佳那子
6. Burn It Down
- Dead Daisies
7. Fire
- Renegade Cartel
8. ルパンレンジャーVSパトレンジャー
-Project.R (吉田達彦/吉田仁美)


Sherbets 愛が起きてる
作品解説:
メンバーが踊っているというビデオクリップが衝撃的な、Sherbetsには珍しいディスコビートを取り入れたナンバー。サビ部分のコード進行は『?(はてな)のブーメラン』や『Danzen ふたりはプリキュア!!』に代表されるような、ルートが1→b3→4と動くモーダルインターチェンジを取り入れた進行だが、本作のコード進行はIm→bIII→IV→Iの繰り返しであり、コードが変わるたびにトニックを基準としてエオリアン(Im)→エオリアン(bIII)→ドリアン(IV)→ミクソリディアン(I)とモードが入れ替わっている。ちなみにサビのリズムギターはパワーコードのようなので、モードの変遷は歌のメロディとコーラスで作っている模様。


Slash
ft. Myles Kennedy
and the Conspirators
My Antidote
作品解説:
2018年も楽曲の完成度が抜群の安定感を誇っていたスラッシュ。ノミネート作品はシングルカットもされたMy Antidote。コンスタントストラクチャー風コード進行を用いたブリッジから、メジャーモードとマイナーモードが入れ替わるサビへと進行。サビではサブスティチュートドミナントが用いられており、スラッシュ節全開のギターリフへ続く。昨年のヒット曲の中では抜群に複雑な和声が用いられていると言えよう。ミステリアスなイントロも良い。


後藤輝基 宇宙ドライバー
作品解説:
衝撃のデビュー作、ジェットエクスタシーで世間の注目を浴びたシンガーソングライター/ギタリスト後藤輝基氏の最新作。テレビ番組の企画ということもあり、二作目以降はかなりバラエティを意識した作品となっていたものの、今作ではお笑いを極力排除し、原点回帰と言える作品となった。EからAへクロマティックスケールで駆け下がるリフが特徴。この作品に大きく影響を与えているのはBlankey Jet CityのSpaghetti Hairではあるが、Judeの恋のサブマリン、The InterchangekillsのCosmic Wonder Bowlerなどの要素も感じさせる。Deep PurpleのSpace Truckin'を意識しているのか、間奏部分ではイアン・ギランとリッチー・ブラックモアのライブでのやり取りを再現している。テレビ番組を通して本当のロックとは何かをお茶の間に問いかけた意欲作と言えよう。


The Skull The Endless Road Turns Dark

作品解説:
元CathedralのBrian Dixonを迎えて製作された、The Skullのセカンドアルバムのタイトルトラック。アルバムを通して初期Troubleを彷彿させるダークな雰囲気を味わえるのに加え、過去のTroubleのどの作品よりも重厚なサウンドプロダクションを聴くことができる、まさに50年に渡るドゥームロック史の集大成的作品である。The Endless Road Turns Darkのサウンドは流行り廃りに一切左右されず、ギターソロなどを除き、テクスチャーは最初から最後までほぼモノフォニックとなっている。この手の音楽にありがちなフリジアンモードはあまり感じさせず、ドリアンとエオリアンが、ハーモニックマイナーとエオリアンがそれぞれ半音で入れ替わるようなメロディが用いられている。メロディに用いられる特性音を半音ずつずらして、別のモードを導くという手法により、モノフォニックテクスチャーの持つ和声の可能性を広げた、芸術的にも非常に価値のある作品。



宮本佳那子 We can!!HUGっと!プリキュア
作品解説:
教育、職業選択、いじめ、ジェンダー論、少子化やAIの人権など、鋭い切り口で現代社会に問題を提起して話題となった第15作目のプリキュア主題歌。一聴しただけでは分かりにくいが、"AメロBメロ"と"サビ"との間の転調は、元キー(F major)のレラティブマイナー(D minor)のパラレルメジャーキー(D major)への転調となっていて楽曲の音域を巧みにコントロールしている。この手法はAll The Things You AreやJobimのTristeといった楽曲にも用いられている。またサビの小節数が16+8の24小節に聴こえるという点も音楽的には非常に重要と言える。後半8小節は前半フレーズの頭8小節の繰り返しに聴こえるが、これは誤りである。実はメロディやコード進行が前半と後半で微妙に異なり(V7/Vの有無等)、前半16小節と後半8小節では別セクションであるとアナライズされる。よく聴くとサビの後半8小節は出だしの「何度でも〜」の再現部となっていることからも、別セクションであるという作曲者の意図は明確であり、このように特殊なフレージングを用いることで、OPテーマという限られた時間内で楽曲の起承転結をコントロールしている。


Dead Daisies Burn It Down
作品解説:
Marco MendozaやDoug Aldrichといったスタープレイヤーを擁するスーパーバンドの4枚目のアルバムのタイトルトラック。演奏、楽曲のクオリティも申し分ないが一番の特徴はサビのリズム。3/4拍子ではなく、4/8+2/8拍子として聴こえるようなフレーズの上にシンコペーションが重なっていて、ややもすると単調になりがちなアメリカンハードロックにバリエーションを持たせている。ただしライブ演奏で観客がリズムに乗れるのだろうかと心配になってしまうナンバーではある。


Renegade Cartel Fire
作品解説:
今アメリカを賑わせている、ボストン出身の若手三人組ハードロックバンドのデビュー作。m6コードを用いたアルペジオから始まる歌い出しは非常にミステリアス。よりエモーショナルなブリッジ部分ではIVm→bVII→IVm→bVIIと続き、次はどうなるのだろうと期待させて、さらにもう一度bVIIが続くというユニークなコード進行となっている。bIIIのパワーコードから始まるギターリフはまさに王道。日本ツアーはあるのか、日本デビューの際にはどのレーベルと契約を結ぶのかなど、これからも目が離せない注目のバンドである。


Project.R
(吉田達彦/吉田仁美)
ルパンレンジャーVSパトレンジャー

作品解説:
ご存知、スーパー戦隊シリーズの第42作目(ゴレンジャーとジャッカー電撃隊を除く八手三郎作品としては40作目)の主題歌にして、非常に歌唱困難なデュエット曲。本作品は二つの異なるメロディと歌詞の曲を合わせて一つの曲になるというチャールズ・アイヴス的なコンセプトで成り立っており、男声パートがルパンレンジャーの主題歌を、女声パートがパトレンジャーの主題歌を同時に歌っている。そのため楽曲で全編を通してテクスチャーはホモフォニックかつ、ポリフォニック。歌詞も「闇の中で」と「眩しいライトで」
、「本当の値打ちを」「フェイクの 正義を」、「ヤツらにアデュー」「サヨナラは言わない」といったように、徹底して真逆の内容を同時に歌っている。また本編でルパンレンジャーが活躍するシーンでは男性パートのみ、パトレンジャーが活躍するシーンでは女声パートのみが挿入歌とし流れ、初めてそれぞれの主題歌を聴くことができるという工夫がされている。主題歌も玩具販売広告の一部と考えると、スポンサーありきの特撮シリーズで、子供が歌えるかどうかは完全に無視し、芸術性を重視した楽曲作りとなっている点において非常に革命的であると言えよう。ちなみにパトレンジャーパート担当の吉田仁美氏はNHK教育テレビ(現Eテレ)おかあさんといっしょの人気コーナー、『ガラピコぷ〜』のチョロミー役声優としても知られている。



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