Watchburg Music
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CD紹介

『コード理論大全』の著者、清水響が所有する
秘蔵のレア(!?)CDコレクションを一部紹介

執筆に大きな影響を与えたこれらのアルバムを聴けば
新しい作曲アイディアが湧いてくること間違い無し!!




A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z

Badlands Voodoo Highway (1991)

Ozzy Osbourne Bandのギタリストとして有名なJake E. Lee率いるBadlandsの2枚目のアルバム。ドラマーのEric SingerがKISS加入のためバンドを脱退、Jeff Martinを加えて制作されました。

ジャケットからも分かるように、スティーヴン・キングの小説に出てくるようなアメリカの田舎を連想させるような良い意味で非常に『泥臭い』ブルージーなサウンド。卓越したギタープレイがフィーチャーされているだけでなく、古き良きアメリカンロックを感じさせる楽曲は是非ドライブで聴きたい。1993年にヴォーカルのRay Gillenがエイズのために他界、このメンバーでの再結成が実現し得ないのが残念です。

レア度・・・★★☆☆☆

Biscaya Biscaya (1983)

知る人ぞ知る、伝説のスウェディッシュ・メタルバンドBiscayaの一作目にして唯一のアルバム。インパクトのあるアルバムジャケットは楽曲以上に有名だと思います。

ジャケットの画風からネタ扱いされることの多い本作も、北欧メタルの最初期の作品として聴くと興味深いと言えます。Deep Purple、Rainbow (Spotlight KidやLazyっぽい曲を含んでいます)へのリスペクトが顕著で、ハイトーン・ボイスやキーボードがかなりフィーチャーされている点も今日のスウェディッシュ・メタルへの大きな影響を感じさせます。EuropeがFinal Countdownを発表する前の北欧メタルを体感したいという方は、是非聴いてみてください。

レア度・・・★★☆☆☆

Candlemass Live - 呪われた祭典 (1990)

スウェーデンを代表するドゥームメタルのライブアルバム。傑作とされる1〜4枚目のアルバムからの、ほぼベストと思われる選曲です。1990年のライブアルバムにも関わらず、録音は非常に高クオリティで、演奏もスタジオ収録に引けを取らないどころか、むしろ上回って聴こえます(Candlemassの初期作品は良くも悪くも80年代のリバーブ成分多めのプロダクションです)。

ロック界に強烈なインパクトを残したMessiah Marcolinの圧倒的なヴォーカルは唯一無二で、未だに彼の実力に匹敵する、歌唱スタイルの近いロックシンガーが現れていないのも納得です。

レア度・・・★★★☆☆

Celtif Frost To Mega Therion (1985)

ブラックメタルやデスメタル、ドゥームメタル、果てには90年代のシアトルのグランジなどにも多大な影響を与えた、パイオニア的存在として知られるスイスのバンドの2作目。H. R. Gigerによるジャケットはあまりにも有名です。

サウンドはスラッシュメタルを基礎としながらも、アメリカのバンドとは異なり、ティンパニや管楽器が取り入れられているなどのエピックなアレンジが特徴です。エクストリームメタルに大きな影響を与えた本作ですが、実際のサウンドは今日のデスメタルやグラインドコアとは大きく異なる印象で、スラッシュメタル黎明期のサウンドが好きな人にオススメです。

レア度・・・★★★☆☆

Church of Misery Master of Brutality (2001)

シリアルキラーをモチーフにした楽曲で知られる日本のバンド、Church Of Miseryの2作目。ジャケットはキラー・クラウンとして知られるJohn Gacyの写真ですが、現在では変更されています(筆者は発表後まもなく購入したため、こちらのバージョンを所有しています)。

非常にヘヴィかつ破壊的なサウンドは他のバンドに真似できない独特なグルーヴを持っており、発売元であるサザンロード・レコード特有のプリミティヴな感じが出ています。サウンドはヘヴィですが楽曲自体にはエクストリーム要素はなく、1970年代ハードロック、ブルースロックの色合いが濃く、キャッチーさすら感じさせます。ヘヴィ+レトロが好きなロックファンにオススメです。

レア度・・・★★★☆☆

Count Raven Messiah of Confusion (1996)

スウェーデン出身のドゥームメタルバンド、4枚目のスタジオアルバムです。何と言っても、この手のバンドの中でヴォーカルの声と歌い回しが一番Ozzy Osbourneに似ているのが特徴です。

サウンドや楽曲の狙いが明確で、何をやりたいのが分かるのですが、サウンドプロダクション(音質、サウンドクオリティ)に難があり、聴き手に伝わりにくいのが残念です。この後解散してしまい、惜しくもシーンを離れてしまうのですが、13年後の2009年に発表するアルバムMammons Warはサウンドプロダクションが格段に向上し、「これを演りたかったのか」というのが一聴して伝わってくる傑作となっています。

レア度・・・★★★★☆

Forsaken Iconoclast (2002)

1990年結成、マルタ出身のドゥームメタルバンドが2002年に発表したEP。スウェーデン出身の同名のデスメタルバンドとは別バンド。Candlemassを意識したサウンド、楽曲が特徴です。

ハイトーンヴォイスに加え、ツーバスのリズムパターンなど北欧メタル寄りのサウンドとなっていますが、公式ウェブサイトには音楽ジャンルが『エピックドゥーム』と書かれているように重厚なギターサウンドを聴かせます。結成から四半世紀以上経った今なお現役で活動をしているとのことです。

レア度・・・★★★★★

Gilla Bruja Tooth and Nail (2002)

イギリス出身のインダストリアルメタルバンド。初期Napalm Death風のブラストビートや、Separtula風のグルーヴィなリフ、音声のサンプリングやドラムのフィルターなど、様々な要素が詰め込まれた実験的な作品の感じられます。

重圧なサウンドの壁が迫る印象ですが、良く聴くとどの曲もダンサブルなリズムで、新しいタイプのディスコ音楽の提案なのかも知れません。一曲一曲は非常に短いのですが、90年代後半〜2000年代に流行したアメリカのミクスチャーロック/メタルよりも色々なサウンドが一つの曲の中に凝縮されている感があります。

レア度・・・★★★★☆

Goatsnake Flower of Disease (2000)

The Obssessed解散後、元メンバーを中心に結成されたGoatsnakeの2枚目のアルバム。サザンロード・レコードの創始者、Greg Andersonがギタリストとして参加しているため、ドゥーム/ストーナーロックファンの聴きたいサウンドのツボを的確に抑えています。

初期のBlack Sabbathがそうであったように、ブルース、ブルースロックからの影響も顕著に見られます。ヴォーカルのPete Stahlの歌唱は正統派かつ安定感抜群で、ドゥーム/ストーナー界隈では稀有な存在と言えるでしょう。

レア度・・・★★★☆☆

Gwar 愚王 アメリカ破懐宣言! (1992)

大掛かりなセットや過激なライブパフォーマンスで人気を博すメタルバンド、Gwarが1992年に発表したアルバム。ショック・ロックと表され、イロモノ扱いされることも多いGwarですが、このアルバムは一般のメタルファンも唸らせる説得力のあるサウンドを聴かせます。

1992年という時代を考えると非常に素晴らしいサウンドクォリティ、起伏とバラエティに富んだ楽曲と確かな演奏力がステージングだけのバンドではないことを証明しています。世界中で人気のGwarですが、何故か日本では知名度が異常に低いのは謎です。

レア度・・・★★☆☆☆

IxOxCx Worthless Songs (2007)

1993年結成の群馬県を代表する人気ロックバンドの3枚目のスタジオアルバム(バンド名はインリン・オブ・チャックウィルソンと読みます)。ハードコア、スラッシュメタルからの影響だけでなく、本作にはポップスやファンキーミュージックの要素も加えられているのが特徴で、前2作と比べて音質が劇的に向上しています。

バンドがベテランの域に達すると円熟味を帯びてくるものですが、IxOxCxはその真逆、『青春』をテーマにしたコンセプトアルバムのような楽曲群が若者の苦悩と人間賛歌を表現しています。

レア度・・・★★★★★

Internal Void Unearthed (2000)

1987年結成、St. Vitusに強い影響を受けているアメリカンドゥームロックバンド、Internal Voidの8年振り、2枚目のアルバム。重厚なギターサウンドの中に独特な明るさを含んだユニークな楽曲が特徴です。

ギター、ベース、ドラムのみという無駄を省いたシンプルなアレンジは、ロックバンドはガレージから生まれるという本質を聴き手に再認識させます。

レア度・・・★★★★☆

Memory Garden Mirage (2000)

1992年に結成されたスウェーデンのドゥームメタルバンド。バンド名は恐らくTroubleの代表曲、Memory's Gardenから取られたものだと思われます。スウェーデンのバンドということもあり、このバンドもCandlemassの影響が大きく感じられるのですが、ザクザクと斬りこむギターリフに乗るハイトーンヴォイスは、バンド名が示す通りTroubleを感じさせます。

ドゥームメタルではハイトーン系のヴォーカルだと安定感に欠ける場合が多いのですが、T. M. Revolutionを彷彿とさせるこのシンガーの歌唱は非常に秀逸です。Black SabbathやCandlemassと違ってTroubleのフォロワーはあまりいないので、Trouble好きは一度耳を傾けても損はないでしょう。

レア度・・・★★★★☆

Necromandus Orexis of Death (1973)

1973年にBlack SabbathのTony Iommi監修でレコーディングされたNecromandusのファーストアルバム。その後バンドは解散したため、本作品は長い間未発表となっていて、リリースは実に四半世紀後の1999年。

ジャケットからは想像がつかないプログレッシブよりのハードロックで、Jethro TullやWishbone Ash、初期Genesis好きには大変オススメです。1973年当時のバンドとしてはサウンドは非常にクリアで、演奏も70年代のロックバンドにしては、かなりタイトな印象。楽曲は歌を聴かせるというよりもバンドアンサンブルが中心で、ツインリードのギターソロなど時代を先取りしています。

レア度・・・★★★★☆

Obituary Back from the Dead (1997)

デスメタルのパイオニア、Obituaryの5枚目のアルバム。Obituaryに限ったことではないですが、初期のデスメタルに分類されるフロリダのバンドのCDの音質はあまり良いとは言えず、一般のメタルファンには伝わりにくいものがありました。しかしながら、1990年代後半からは各デスメタル作品のサウンドクオリティも劇的に向上し、一般リスナーも作品を楽しめるようになりました。

Back from the DeadもObituaryの魅力を十分に伝えることのできるサウンドプロダクションで、非常に良質なメタルサウンドを提供しています。良い音質で作品が聞けるようになると、Obituaryが目指すサウンドの方向は、一般にイメージされるようなデスメタルの印象とは大分異なることが分かります。特にこのアルバムは疾走感やグルーヴが重視されており、聴いていて心が洗われるようです。MetallicaやRage Against the Machinesといったバンドが好きな一般のロックファンにも是非聴いてほしい一枚です。

レア度・・・★★☆☆☆

Paradise Lost Faith Divides Us -Death Unites Us (2009)

ゴシックメタルという言葉の生みの親と言われる、Paradise Lostの12枚目のアルバム。デスメタルに始まり、エレクトロポップなど音楽性が様々に変遷していく中で、辿り着いたサウンドは圧倒的です。

2000年代以降のアルバムはどれもヘヴィなサウンドに回帰しているのですが、前作あたりから復活した初期のデスメタル風な歌い回しも幾つかの楽曲で聴くことができます。過去のサウンドの良いところを残しつつ、未だ進化を続けるParadise Lostの活躍には今後も目が離せません。

レア度・・・★★☆☆☆

Penance Proving Ground (1999)

ピッツバーグ出身のドゥームロックバンド。アメリカのサザンロードレコードではなく、イギリスのライズアバーヴレコードからデビューしていますが、St. Vitusを彷彿とさせるアメリカンドゥーム/ストーナーならではのプリミティブな感じを持ち味としています。

無駄を省いた、ギターリフ中心のシンプルなアレンジの楽曲に熱唱系のロックヴォーカルが乗り、良い意味でアメリカの『ガレージロック』の感じが再現されています。

レア度・・・★★★★☆

Pentagram Be Forewarned (1994)

1971年から活動しているアメリカ、ヴァージニア州出身のドゥームロックバンドの3枚目のアルバム。アルバム発表の機会に恵まれず、バンド結成から23年で制作したアルバムは僅か3枚なのですが、その活動歴の長さから、1990年代には既に伝説のドゥームロックバンドであったと言われています。

1994年にしては音質に優れず、聴き手に良さが伝わりにくいとも感じられますが、個性的なヴォーカルに昔ながらのドゥームロック好きのツボを押さえた楽曲が魅力非常に魅力な1枚です。

レア度・・・★★★★☆

The Phantom Cyber Christ (1993)

Nuclear AssaultのAnthony Bramanteが在籍したことで知られるThe Phantomのサードアルバム。1993年と言えば、NirvanaのIn Utetoが発売され、MetallicaはBlack Albumのワールドツアー真っ只中。そんな年に発表されたのが、この超正統派ヘヴィメタル作品Cyber Christです。

サウンドはJudas Priest直系、王道中の王道で、クオリティも高く、時代が違えばPain Killerのような評価を得られたかも知れません。しかしながら一番の注目ポイントはこのジャケットに描かれている謎の猫サイボーグ。彼(彼女?)がCyber Christなのでしょうか?Pain Killerっぽいと言えばぽいですし、Screaming for VengeanceやDefenders of the Faithといったアルバムのジャケットに雰囲気が似ていないとは言えないですが、何故にゃんこ?未だヘヴィメタルファンの理解を超えたこのセンスに時代が追いつく日は来るのでしょうか。

レア度・・・★★★★☆

St. Vitus Born Too Late (1987)

The ObssessedのScott "Wino" Weinrichをヴォーカルとして新たに迎えたSt. Vitusの3枚目のアルバム。1987年と言えばスラッシュメタルの台頭が著しい時期で、タイトルにもBorn Too Lateとあるように、時代に逆行したような音作りとなっています。

リスナーを選ぶバンドではありますが、個性の塊とも言えるWinoのヴォーカルと、独特の雰囲気は他では聴けないサウンドと言えるでしょう。

 

レア度・・・★★★☆☆

Sanctuary Refuge Denied (1988)

MegadethのDave Mustaineがプロデュースしたことで知られるワシントンのスラッシュメタルバンドのファーストアルバム。Mustaine自身もギターソロやコーラスで参加しています。

初期Megadethのような雰囲気を持っている珍しいバンドではありますが、ヴォーカルがRob Halford系の超ハイトーンヴォイスなので、Judas Priest、Merciful Fateや初期Helloweenのような印象を感じさせます。80年代のスラッシュメタルの雰囲気が好きな人にはオススメ。

 

レア度・・・★★☆☆☆

Sirrah Acme (1997)

1992年にポーランドで結成されたゴシックメタルバンドのファーストアルバム。初期Paradise Lostの影響が顕著に感じられますが、男女ヴォーカルやヴィオラ奏者がメンバーであったりと他のバンドには無い要素を含んでいます。

バンドとして大成功を収めたという訳ではありませんが、女性ヴォーカルのフィーチャー、オーケストラ楽器の活用、デスヴォイスと普通ヴォイスの切り替えなど、2000年代以降は当たり前となったこれらの手法をいち早く取り入れる先見の明を持っていたと言えます。初期Paradise LostのGothicやShades of Godといったアルバムの雰囲気が好きな方には一聴の価値ありです。

レア度・・・★★★☆☆

Solitude Aeturnus Adagio (1998)

1987年にテキサスで結成されたドゥームメタルバンドの5枚目のアルバム。アメリカンドゥームにありがちなガレージロック/ストーナー感は一切無く、正統派のエピックドゥームアルバムです。

このような音楽性のバンドにありがちなキーボードやオーケストラ楽器の使用は極力避けられ、バンドサウンドで勝負しており、また後にCandlemassに加入することとなるヴォーカルのRobert Loweの歌唱は一際存在感を放っています。Rony James Dio時代のBlack Sabbathの代表曲、Heaven and Hellのカバーも収録されており、カバーとは言えオリジナルに引けを取らないクオリティがバンドとしての実力を見せつけます。

レア度・・・★★★☆☆

Spirit Caravan Dreamwheel (1999)

アメリカンドゥーム界の大御所、Scott "Wino" Weinrichを中心に結成されたSpirit Caravanの5曲入りEP。サウンドはアメリカンインディのストーナー全開ですが、Wino及び関連作品の中では比較的キャッチーな楽曲を含んでいるため、Wino初心者にもオススメの作品です。

過去作品よりも音質は向上し、初心者オススメとは言いつつも、ファンが聴きたいポイントは押さえられています。ジャケットはパッと見何だかわからないですが、よく見ると空飛ぶ船にローブを着た人がたくさん乗っている不思議な絵柄です。

レア度・・・★★★☆☆

Trouble Manic Frustration (1992)

ドゥームメタルの雄、Troubleの最高傑作と称される5枚目のスタジオアルバム。ダークな雰囲気は残しつつも、複雑な楽曲構成は廃止し、70年代ハードロックのようなストレートにリフと歌で勝負しています。ザクザクと斬りこむギターリフにハイトーンヴォイスが被さるスタイルは正に王道。

バンドの代表曲でもあるMemory’s GardenやMr. Whiteなどウェットでメランコリックな楽曲が含まれており、レトロ&ヘヴィを体現、ドゥームの枠を飛び越えたハードロックの超名盤です。

レア度・・・★★★★☆
長文レビューはこちらManic Frustration

Warhorse As Heaven Turns to Ash (2001)

サザンロードレコードより発売された、マサチューセッツ州出身のドゥームロックバンド、Warhorseのファーストアルバム。サザンロードレコード特有のプリミティヴな感じを残しつつも、非常に重々しいギターリフとデスヴォイスがアルバムのサウンドを支配しています。

静かなパートと破壊的なサウンドを聴かせるパートのコントラストが非常に激しく、ギターサウンドは大きく異なりますが、CathedarlのForest of Equilibriumにも似た邪悪で禍々しい雰囲気を醸し出しています。同レコードレーベルから同年に発表されたChurch of MiseryのMaster of Brutalityのサウンドがお気に入りの方にはオススメです。

レア度・・・★★★★☆

Witchcraft Witchcraft (2004)

2004年にライズアバーヴレコードから発売されたスウェーデンのロックバンドのファーストアルバム。ヴォーカルの歌い回しや、サチュレーション具合(録音機材による音の飽和)、ギターサウンド、緩いリズム、そして多少の演奏ミスは取り直さない点など、本当に1960年代からタイムスリップしてきたかと思わせるようなサウンドが聴かれます。

レトロな音楽をハイファイなサウンドで再現するバンドはいますが、ここまで狙ってレトロなサウンドと雰囲気を作れるバンドはそうはいないでしょう。音楽自体にエクストリーム要素は一切無いので、ロックファンに限らず一般のロックファンにも聞いてほしい一枚です。

レア度・・・★★★☆☆

Witchfindergeneral Friends of Hell (1983)

イギリスのロックバンド、Witchfindergeneralの2枚目にして実質的には最後のアルバムです。筆者はとにかくこのアルバムが大好きで、10代の頃は聴きまくっていました。Witchfindergeneralがいなかったら音楽を本格的に勉強しようと思わなかったかも知れないので、このアルバム無くして『コード理論大全』の完成はなかったことでしょう。

チューニングを下げたギターによるBlack Sabbath風のリフ中心の楽曲構成なのですが、曲の中にモーダル・インターチェンジや転調といった和声の技法が積極的に使われていて、ドゥームロックとカテゴライズされるバンドの中ではメロディのセンスが際立っています。その上、音楽的には決して難解に聴こえず、どれも非常にキャッチーで覚えやすい曲ばかりなので、音楽だけならロックファンならずともオススメです。

ただアートワークや世界観については、アンダーグラウンド臭が抜けないので、そこがまたドゥームロックファンの間で神格化されている一因でもあるでしょう。

レア度・・・★★☆☆☆

Witchfynde Cloak & Dagger (1983)

1980年頃に起きたNew Wave of British Heavy Metalムーヴメントで活躍したバンドの3枚目のスタジオアルバム。バンド名やジャケットから、禍々しいオーラが漂ってくるのですが、実際に聴いてみると良い意味で裏切られるサウンドです。

ヴォーカルはRob Halford系のハイトーン+シャウトを得意としていて、初期Iron Maidenのような雰囲気なのですが、曲は非常にポップでキャッチーです。このアートワークとサウンドのギャップがなんとも言い難いアンバランスな魅力を作り出してます。Judas PriestのLiving after Midnightとかが好きな人には是非オススメです。

レア度・・・★★★★☆

Zeno Zeno (1984)

ドイツ人ギタリスト/マルチプレイヤーのZeno Rothが結成したバンドのデビューアルバム。現在はリマスター盤が流通しているようですが、その昔はレアなアルバムで、筆者も中古をプレミア価格で購入しました。

聴き所は東洋的な雰囲気を持った壮大かつ爽やかな楽曲です。オリエンタルなジャケットも相まって、ブッダメタルなんて呼ばれていたと記憶しています。また兄であるUli John Rothと比べられることも多いようですが、Zenoのギターソロの音色とセンスは特筆すべき点で、Zenoに近いこの感じを出せるギタリストはあまり聴いたことがありません。1998年発表のListen to the Lightは比較的入手しやすく、かなり良い音質でファーストアルバムに近い音楽的な内容を再現しているので、Zenoを聴いてみたいという人は、まずこちらがオススメです。

レア度・・・★★☆☆☆


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